カスハラ対応のガイドライン作成の必要性 MUSTではなくCAN 

この3年ほどでカスタマーハラスメント対応のガイドラインを10社くらいで作ったり、監修しました。ガイドラインとマニュアルの違いはCANかMUSTです。ガイドラインは「こうしてもいいよ」で、マニュアルは「こうしなさい」です。クレーム対応には決まったマニュアルよりも、「このような状況になればこうしてもいいよ」としておいた方が働き手としては気が楽になるわけです。

 

以前監修したある化粧品会社では、5~6年前から男性が化粧をするようになったのでデパート・百貨店・ドラッグストアなどのお店に男性が来客する機会が増え、その対応に困っていました。対応するのは女性の美容の専門家。美容のプロなので容姿に大変気を払っており、大変接遇のレベルが高いので、若い男性には「この子、俺に気があるんじゃないか」と勘違いをさせてしまうことがあり、「どのあたりで飲んでいるの?」「どこに住んでいるの?」とプライベートに踏み込まれたり、1日のうちに何度も来店したりといったストーカーまがいなことをされたり、と言うような感じでどのように対応していいのかがわからず、大変困っておられました。そこで「断ることだったらこの人だ!」とありがたいことに私に白羽の矢が立ち、ガイドラインの監修をすることになりました。基本的な考えとしては「毅然と断るべきことは断る」「美容以外の話はしない」といったコンセプトで作成しました。

 

例えば

・プライベートなことを聞かれた場合は、「私は美容のプロですのでプライベートな事等美容以外の話はしません」と断る

・男性の化粧にはそんなに時間はかからないので来店は1日1回まで、1回15分で帰ってもらう

・フルネームの名札を付けているとSNSで特定されるリスク、また馴れ馴れしく下の名前を呼ばれるので名字だけにする

・転勤があった場合、異動先は教えない

・おみやげは一切貰わない

といったルールを徹底的に作りました。完成後、現場の皆様には大変好評でした。「これで男性は全く怖くない」ということで安心いただける結果となりました。

 

私のクレーム・カスハラ対応の研修やガイドライン作りはこのように「働き手が前向きな気持ちで安心安全に働くことが出来ること」が目的です。少子化が進み、働き手の確保が難しい中、貴重な人財をクレームやカスハラで失ってしまうのは企業や組織にとって大きな痛手です。そのような事態を防いでいきたいとお思いでしたらお気軽に私にご相談ください。