立場が人を育てると言います。私のお客様で数十人の会社ですが、昨年4人だった課長を思い切って10人以上に増やしました。
それから1年が経ちましたが新任の課長さんたちはしっかりとした自覚が芽生え、中には2年目課長とは思えない貫録を身に着けた方もいらっしゃいます。皆さんは与えられた立場の中で努力をしています。立場が人を作っていくということを目の当たりにしました。
立場が人を作ると言えばこのような話があります。スタンフォード監獄実験といった1971年にスタンフォード大学が行った実験があります。この実験を題材にした映画「es(エス」を10数年前に見ましたが、この映画は大変興味深いものでした。
実験の目的は強い権限を持つ看守側と囚人側の立場を与えたら、その役割に合わせた行動を取るということを証明することでした。
健康な大学生などを選び、模擬監獄の中で看守役を11人、囚人役を10人に分け、2週間の予定で実験は開始されました。
実験が始まると次第に看守役は囚人役に罰則を与えるようになり、素手に近い状態でのトイレ掃除など、囚人役に屈辱を与えはじめ、最後にはルールで禁止されていた暴力をふるうまでになりました。この実験は危険とされ、6日間で中止になりました。
実験者によると実験の結果としては強い権力のある側とそうでない側が一緒にいると次第に権力者側が暴走することと、役割を与えられただけでその役割の状況になってしまうことと結論付けられています。
この実験には2020年の現在にあっても実験への疑義や論争が続いていますが、ざっくり言えばこのようなお話です。悪い意味ですが立場を与えると人は作られていくことが分かります。
役職を引き上げて部下を持たせるときに大事なのはその部下たちをしっかり見ることと痛感した苦い経験が私にはあります。しっかり部下を見て配慮を行えていなかった結果、部下に付いてきてもらえなかったり、ひどい時はクーデターを起こされたりしました。(クーデターについては事前に対策をしていたので事なきを得ましたが)
このように痛い目にあったことを後の会社では反省点として活かせました。役職が上がるほどフォアザチームに徹して、自分のことは後回しにしてまずは部下をしっかり見ていくようになれて、チームが機能していくことを痛い目にあって反省したことで初めて理解できました。
冒頭に書いたお客様の新任課長たちは最初からこれができているのが素晴らしいと思います。
なかなか管理職やリーダー層が育たないとお嘆きの経営者の方々に、思い切ってその立場にしてしまうというやり方があるということを提案します。うまくいけばそれでいいですし、うまくいかなくともそこで学べることがあります。