床屋はマメに行きたいのでいわゆる「1,000円カット」を愛用しています。マメに行きたいだけではなく、実は1,000円カットの理美容師は技術があったりします。
10年ほど前に1,000円カットの美容師さんに聞いた話ですが、1日に切る回数が圧倒的に多く、1日に90人の散髪をしたことがあると言ってました。それだけの量をこなすので必然的に腕が上がるそうです。納得です。
私の好きな言葉に「量は質に転化する」といった言葉があります。最初から質を追求するのは難しい話であり、あれこれとやってみて質の高いものができていきます。
先日この話を美容師にしたらさらにこのようなことを聞きました。「ゆっくり時間をかけて少しずつ髪の毛を切っていけば、理美容師の免許を持っていれば誰でも髪型を作っていくことができるが、1,000円カットは短時間で仕上げなければいけないので想定したラインに対して一発で切れるようになる技術が必要だそうです。聞いていると結構な技術だと思います。もちろんゆっくりと時間をかけてシャンプーしてもらったりして、くつろぐことがお好きな方もいらっしゃるのでどちらが良いということを話しているのではなく、1,000円カットの理美容師ならではの話だと思いました。できる限り少ない回数で、なるべく少ない手数で仕事を仕上げるという考え方は働き方改革で「1秒でも短縮する」ことを考え、研修で指導する立場の私にとっては興味深い話であるということです。
実家は不動産会社をしています。祖父の代までは月に数百枚単位の領収書はすべて手書きで、祖父はいつもこつこつと仕事をしていましたが35年前、私が中2の時に父はパソコンを導入し(PC9801 懐かしい!)、それ以降祖父の手書き作業は一切なくなり、領収書の作成は全部自動的に作成できるようになりました。
手間がかからなく省力化が進んだ上、人の手がかからないのでミスはまず出ません。いいことばかりです。自動化できることは出来る限り自動化した方が良いことの典型です。
少し前、あるお客様の部長さんがなんと「エクセルで計算したものをちゃんと電卓で確認したのか」と部下に言ったと聞いてびっくりして説教をしました。話を聞くと本人が以前エクセルで手ひどいミスをしたということでしたが、「じゃあ、人間が電卓弾くのとエクセルが計算するのはどちらが正確ですか?」と聞けば「それはエクセルだと思います」、「圧倒的にミスが出やすいのどちらですか?」と聞くと「電卓です」と帰ってきました。分かっていてやっていたのは思い込みであり、最も問題なのは「今までのやり方を変えたくない」という凝り固まった気持ちが根底にあることと思いました。
いかに人手をかけずに自動化していくのか。この辺りの改善を考えていけば無駄な労力やミスは減ります。いろんな視点・角度から考えていきたいものです。