本日は愛知県の自治体様で3時間のコンプライアンス研修を2回してきました。まさに語りつくしましたので心地よい疲れで充たされています。
コンプライアンス研修でよく使う事例のひとつが東京女子医大の話です。東京女子医大では2002年2月の心臓外科手術中の人工心肺装置の事故による死亡事件とカルテ改ざん事件で厚生労働省より特定機能病院の指定が取り消されるといった1回目の出来事がありました。
2014年2月には麻酔薬「プロポフォール」の大量投与で男児死亡事件が起こりました。プロポフォールは子供には使用禁止の薬物であるのに、人工呼吸中の子供が暴れないのが目的として大人使用量の2.7倍を投与したとのことです。この件がきっかけで小児に対するプロポフォールの過量投与が常態化しており、14歳未満の55人に63回投与されていたことが発覚し、自己に対する報告を病院が行うも再度厚生労働省より2度目の特定機能病院の承認取り消しとなりました。
その結果、外来患者は1日3,872人→3,552人で320人減、入院患者は1日1,146人→990人で156人減と激減し、2016年度は22億円の赤字と3年連続赤字で法人存続の危機的事態になりました。
この場合、医療の安全性より医師の都合が優先されたと言え、医療従事者としての倫理が守られているか甚だ疑問に思いました。その結果、職員への上半期の賞与は4.35か月→1.6か月と3分の1程度まで削減されました。
その後、何とか危機を乗り越えて病院は存続してきましたが、今回のコロナウイルスの影響で売り上げが激減し、再々の問題が発生しました。
コロナウイルスの影響による収入減で教職員への夏季のボーナスを減額、2021年度より6年間の学費を1,200万円アップで4,700万円にということからも経営が危ぶまれていることが分かります。
コンプライアンス違反は組織風土の表れであり、いつになっても風土が改善しない組織は違反や事件の再発を繰り返します。その典型的な事例がこの東京女子医大です。他にも三菱自動車や日本相撲協会が思い出されます。日本大学も2018年のアメフト部事件に続き2020年ラグビー部でもパワハラ事件が発覚しました。
風通しの良いコミュニケーションが取れた、倫理観の高い組織づくるこそが企業や組織の建設的な躍進の根底です。それができていないからマイナスのスパイラルに陥っていきます。