コミュニケーションを活性化させるための方法は様々ありますが、今回は非常に単純ですけれども非常に効果が高い方法を一つ紹介します。それは「前置き」をすることです。
一番聞いていられなくなる話は「いつ終わるのか分からない話」です。研修は時間が決まっていて9時~12時とか9時から17時とか時間が決まっているから話を聞けるわけですが、これが「皆さんが理解するまでやめません。夜の12時になっても明日になっても理解するまでエンドレスでやります。」だったらいかがでしょうか?こんな研修聞きたくありませんよね。
私は研修の冒頭で
・何時ゴールを目標に進めること
・1時間に必ず10分の休憩を入れること
を約束し、1日があっという間に過ぎることを伝えます。
その上で約束を守り、こまめに「後10分くらいで休憩に入りますね」など話をして聴き手の集中力を高める工夫をしています。こうすることによって研修の効果が上がっていくわけです。
これと同じで話をする際、「話は3つあります。」と前置きを入れると相手は「ああ、3つ聞けばいいんだな」と思うことで集中ができます。この際、5つまでにするのが妥当です。日本人は3拍子とか四天王に慣れていて、多くてもゴレンジャーの5くらいまでで6とか7になると「多い」と思いますので話を聞きたくなくなりますので5つまでに留めましょう。
「2分お時間をいただいてもいいですか」という尋ね方も使えます。大変簡単な方法ですが、聴き手の集中力を高めることで相手に話が伝わりやすくなります。
何事も簡単であることほど効果は高いことは多いです。例えば10数年前に当時の明治乳業(現明治)であった話ですが、当時クレーム対応の部署であるお客様相談室では粉ミルクに異物(髪の毛など)が混じっているとのクレームに困っていました。クレームを言ってくる相手は赤ちゃんのお母さんですので、かわいい我が子のことに対して非常に感情的になられているので激しいクレームになります。そのようなクレームが多数来るので大変でした。
クレームが起こらないためにどうすればいいかとある社員が考えていたところ、「粉だから異物が混入する。固めてしまえばどうか」といった発想に至りました。そして誕生したのがキューブ型にミルクを固めたものです。私ももうすぐ11歳になる娘をこれで育てました。これで明治へのクレームは激減したそうです。単純な方法こそが劇的な変化を生んだ好例です。「前置き」も同じことです。