世の中には理不尽な要求が多いというより、そもそも世の中は理不尽でできていると言えますが、それでもできる限り理不尽からは避けていきたいものですね。
昔、あるプロ野球が行われる球場の管理会社の方に聞いたことがあるのが「俺はGチームに負けるのはいいんだけど、Yチームに負けることだけは許せないんだ。どうしてくれる!」
今まで1,000を超える理不尽なクレーム事例を見た中でも最も答えようが難しい事例でした。この事例は
「本日はこのような結果になりましてファンの皆様には申し訳ない思いをさせてしまいました。私どもチームの職員も同じ思いをしております。どうか次の試合に勝てますよう、私どもも微力を尽くしますので、ファンの皆様もどうか心強い応援をお続けいただきますようどうぞ宜しくお願いいたします。」
このように答えるようにとアドバイスをしました。
このような理不尽なクレームへの答え方の基本形は1に気持ちは分かる、2にでも致しかねるという構成が基本です。
以前、本当にあった話なのですが「市営公園のセミがうるさくて仕事にならない。何とかしろ」というクレームですが、まさか職員総出で網と籠を持ってセミ取りをするわけにはいきません。つい「そのようなことは市役所では対応できかねます」と断ってしまうところですが、そうすると「高い税金ばかり取るくせに市役所は本当に働かない」とさらにお叱りを受けてしまう羽目になってしまいます。
このような場合、言った共感し、気持ちは分かりますといったワンクッションを入れていくことが大事です。具体的には
「公園のセミがうるさいことで仕事に集中できないことは良く分かります。本当に大変ご不快な事でしょう。ただ、あいにく市役所では対応いたしかねる件ですので何卒ご了承をいただけますでしょうか」
このように少し共感してあげるだけでも効果はあります。
このやり方は不当な要求に対しても使うことができます。例えば離別や死別等でシングルマザーになった場合には児童手当が出るのですが、例えば姉夫婦宅にしばらく居候をするといった場合、姉夫婦と1所帯と見なされてしまいます。「家計は別ですので」と言われても出してあげることは出来ないのが現実です。
この場合、私が担当者とすれば出してあげたいと思います。人として出してあげたいです。もし私が亡くなり妻と娘が姉夫婦宅に居候してこの手当が出ないというなら私は天国から「何で出ないんだ!」と怒り心頭になると思います。この場合、
「私としても人としてこの手当は出してあげたいです。心の底から出してあげたい気持ちでいっぱいです。誠に、誠に残念ですがどうしても法律上出しかねるということを何卒ご理解ください。本当に私は悔しい思いをしています」
いろんな場面でかなり使えるやり方なので覚えておくと良いでしょう。