3年ほどほぼブログをお休みしていたのですが、またボチボチやっていこうかなと思って再開しました。改めてよろしくお願いいたします。
企業の人事顧問をしているので若手社員と接する機会があります。また、若手の研修を担当することもあり、先日は自治体で新卒2年目の研修でちょうど100名の若手職員たちと接しました。このような機会も多くあります。
若手から良く聞く言葉が「コスパ タイパ」です。コストパフォーマンス(費用対効果)、タイムパフォーマンス(時間対効果)の略ですが、「ほんとにパフォーマンスなの?」と思うことが多々あります。
良くあるのが「それってやる意味あるんですか?意味のないことはコスパ・タイパ悪いんでやりたくありません。」といったセリフです。これに対してまず言いたいのが、「君は何が意味があって、何が意味がないのか判断できるだけの能力があるのか」ということです。意味があるかどうかなどやってみないと分かりません。そんな判断ができるほど賢い人など世の中にほんのわずかしかいません。君はその中に入っているのかと問いたくなります。
そんな言い方をするときつくなってしまうのでこんな話をします。
「30年前に私は新卒で三菱ふそうに入ってトラックを売っていた。主に販売先は建築会社や物流会社で、そういった会社がどのような事をしているか、現場を見てきた。建築や物流会社の昭和的な古い慣習なども見てきた。トラックは現場の仕事で使うものなので現場を良く知る必要がある。その中で、ごみを回収する車のパッカー車や、自動車を乗せる車載車なんかも売ったことがある。そんな経験が30年経ってからなぜかまとめて活かされた。先月(令和7年8月)で新規で4件研修のご依頼をいただいたんだけど、1つめは建築会社で、建築のことを良く分かっている講師がいいということで6社の研修会社の競合の中から選ばれた。2つめも建築会社で、建築会社の昭和的な古い慣習や起きてしまったパワハラについて話ができるといったことで選ばれた。3つめは自治体の仕事で産業廃棄物の業者向けのセミナーの話、4つめは車両の輸送の会社の研修の話で、パッカー車や車載車を理解している講師などどこを探してもまずいないので単独ご指名をいただいた。その時はこんな経験が何の役に立つのか分からなかったけど、今になって無茶苦茶役に立ったんだ。意味があるかどうかなんて、誰も分からないんだよ。私は30年経ってようやく気付いた。」
こんな実話、話してみると若手に結構響きました。それに付け加えて
「経験値や能力と言うのは成功体験とは比例しない。それらは失敗も含めてトライした回数に比例する。講師の仕事なんてまさにそうで、成功体験よりもどれだけ失敗してきたかを語れる講師の方がいい講師なんだよね。クレームに苦しみまくった話、部下からクーデターされた話、部下からのクレーム、不祥事を告発したら上司に隠蔽され左遷されたこと、仕事と親友と彼女を同時に失ったこと、最速一部上場記録を持っていた会社の不祥事による経営破綻を経験したこと、最速マザーズ上場記録を持っていた会社の隆盛と衰退(リーマンショックで倒産で職を失う。結婚披露宴を行った2か月後の話)、パワハラを受けての退職、コロナ禍の始まりで2か月仕事ゼロ・・・挙げればきりがないけど、こんな経験をしたからクレーム・カスハラ対応、ハラスメントと部下指導、コンプライアンスなんかを語れる訳。失敗体験こそ宝ものなんだよ。」
ここまで話すと本当の意味でのコスパ・タイパを理解させることが出来ます。
管理職の皆様は昔の成功話の自慢はやめましょう。若手が飲み会に来たがらないのは下らない自慢話を聞きたくないからです。今の若手には成長意欲はあります。失われた30年の中で不安な気持ちが強い傾向があるので、しっかりとスキルを身に着けてどこでも通用するようになりたい気持ちがあるからです。失敗することの大事さ、未来に向けての前向きな話をするならば、若手は喜んで一緒に飲みに行ってくれるようになります。