難苦情の中で病的なクレーマーへの対応というものがあります。今回はその中で誇大妄想型のクレーマーについてお話をして参ります。
昔、賃貸不動産物件の家賃保証会社の家主や管理会社向けの営業をしていましたが、家賃滞納の際の督促の現場を見るために1月ほど督促部隊に付いて勉強をしていた時の話です。家賃の督促に実際に行った時に話がまったく家賃と違うところに飛んで、
「私はねえ、旧皇族の北白川宮家の出身なの。時代が時代ならあなたたちなんて私の顔も見れないのよ。だから家の出が違うから・・・」
くどくど話は続いたところ、督促の担当者は「うんうん」と話を聞いていましたが、話が途切れたところで一言。
「で、家賃は?」
この一言で家賃滞納者はピキーン!!と固まりました。そして15秒くらいしたらハッとした顔で我に返ったと思ったら今度は
「S鉄道のT社長知ってるわね。ほんとは私はTから50億もらう予定だったの。」
典型的な誇大妄想型のクレーマーでした。わかりやすいくらいに。このように大きな話をするのがこのタイプのクレーマーだと覚えておきましょう。傾向としては自分の存在は大きいものと認めさせたく、心理的に寄り添ってくれる相手を求めるということです。そのため、個人が名指し指名されることを避けていきたいところです。
私がいた賃貸保証会社では督促チームは3人1チームでした。人が変わり変わりすることで名指し指名されず心理的に寄り添ってくるのをかわすということができます。クレーム対応を一人で背負い込んでしまうのは禁物です。名指し指名でターゲットにされてしまうと長時間の拘束につながりやすいです。
まず一時対応者が1時間対応をしてらちがあかなかったら、二次対応者が対応しますが、その時にわざと一時対応者と全く同じ説明をします。そして30分話をしたら三時対応者に変わり、これも全く同じことを説明するというやり方があります。一人で対応すると怒りはその一人に集中しますが3人で対応することで怒りは分散化され、取り付く島が無く誰に話をすればいいのかが分からなくなるといった効果が出ます。また誰に言っても話になりませんのであきらめるという方向に行きやすくなります。
不当な要求や無理な難クレーム、病的クレーマーなどの相手をしている時間はもはやありません。基本的にはクレームはたらい回ししてはいけませんが、「あえて」たらい回す場合もあると覚えておくと良いでしょう。