錣山親方が英断をされました。相撲協会の体質が変わってきたのかなと思え嬉しいです。
日本相撲協会は2000年代から相次いで重大な不祥事を連発しました。
2007 時津風部屋 力士リンチ殺害事件
2010 野球とばく事件
2011 八百長発覚事件
2017 貴ノ岩事件
と続き、今月13日には中川部屋で恒常的な暴力が続いていたことが発覚し部屋が閉鎖といった事態になりました。このようなことがあれば自治体や一般企業ならば最も重い罰である懲戒解雇が妥当ですが、中川親方には2段階降格といった甘々処分で物議を醸しております。この事件を知った時、「またか」と思いました。
日本相撲協会は「公益」財団法人ですので「一般」財団法人よりも税制面で優遇されており、より法令遵守精神が求められる組織です。一人の好角家、コンプライアンスの専門家としてまだまだ厳しい目を向けていく必要があると思っております。
さらにやらかしたのが気鋭の新進力士、阿炎(あび)です。相撲は相手と濃厚接触をせざるを得ず感染リスクが高く、残念ながら一人コロナによる力士の死者も出てしまったこともあり、協会は不要不急な外出を控える内容の厳格なガイドラインを設けていたにも関わらず、接待に接触が伴う「夜の店」に何度も通っていたことが先週発覚しました。
阿炎はやんちゃかつ天然の問題児として有名で、今年2月のコンプライアンス研修受講後に報道陣の前で、寝ていて全く話を聞かなかったと放言し大問題になったこともありました。
ガイドライン破りは重罪です。場所後には阿炎に厳しい処分が下るでしょう。ただ、1点相撲協会にとって光明と思えることがありました。錣山親方(元関脇寺尾)の英断です。
夜の店へ通っていたことが発覚した翌日、錣山親方はこの件をすぐに協会に包み隠さず報告し、阿炎の休場届を提出した上で両国国技館の駐車場で阿炎を待ち構えて追い返したそうです。
まさに「英断」だったと思います。今までの隠ぺい気質な相撲協会において考えれれなかった、極めて大きな出来事と考えています。錣山親方、素晴らしい。
「誰かが責任を取って終わり」では不祥事は繰り返していきます。責任を追及するのではなく、不祥事は明らかにして何が原因であったのかを追究していくことがコンプライアンス意識を浸透させていく上で重要なのです。
阿炎は26歳の伸び盛りの期待している将来有望な力士ですので、今後のチャンスを与えてあげてほしいとも思いますが、どうなることでしょうか。場所後の裁定が気になるところです。
ところで、錣山親方と言えば元関脇の寺尾。ハンサム力士として私が高校生くらいの時に女性からの人気がありました。若貴ブームで相撲人気が高い時代でした。
高2のときに同じクラスに今だとスー女(すーじょ 相撲好き女子)という言葉がありますが、それにぴったりの子がいました。彼女はかなりの寺尾ファンでした。
そのクラスの男子の一人が寺尾に似ていることに私が気づいて、そのスー女さんに「~~って寺尾に似てるよね」と伝えたら、その後二人はいつのまにか付きあってたと聞きました。思わぬところでキューピット役をしていたというどうでもいい話です。
三菱自動車と日本相撲協会、この2つの組織の上昇・下降の曲線を描いてみるとかなり近いものがあります。相撲の世界も完全な上意下達どころか「横綱は神」の世界です。一人の好角家・相撲好きとして閉鎖的な体質から脱して日本の素晴らしい文化を承継していってほしいと思うばかりです。
2回にわたり、似たような曲線を描いた組織についてお伝えしました。ぜひご参考にしてください。最後に不祥事を犯した人がまず言う言葉を伝えます。
「そんなつもりはなかった。」