4週間、ひたすらコンプライアンスについてブログとYOUTUBEでお伝えしてきましたが、本日がシリーズの最終回になります。お付き合いいただきありがとうございました。
本日はまとめとして企業でコンプライアンス違反や違法行為が発生する根本について考えていきます。
まず企業・組織と言うものは社会貢献できることが第一義です。社会貢献ができない組織に存在価値はありません。次に必要なのが存続し続けることです。社会に貢献するためには存続し続けることが必要です。存続し続けるためには適正な利益を出し続けることです。これはきれいごとではない話です。利益を出し続けなければ企業・組織は存続できません。これが組織・企業に関する基本的な考えです。
利益を出していきために企業は予算を立て、実行していきます。ここで仕事ができる人ほど目標達成に拘ります。私は6社に勤めましたが優秀な人ほど目標達成への拘りの強さを感じました。
それゆえに目標達成ができなかった時に粉飾決算をしたり、目標を達成するためにデータ改ざん等コンプライアンス違反を犯してしまうわけです。
目標達成を何が何でもするんだという意識は一種のプロ意識だと考えますが、反面法的にアウトすれすれのこと(もしくはアウトそのもの)をするのはプロ意識を著しく欠いた行為と言えます。目標達成を取るか、問題がある行動をするかの岐路に立たされた時に本当にプロ意識があるならば答えは一つ、「正しいことをする」が本当のプロ意識です。
私は以前在籍したソニー生命で本当のプロ意識の原型を植え付けてもらったと思います。入社面談の時から本当のプロになっていくことの意識を持てていきました。テレビドラマ半沢直樹が話題でしたが金融のプロとしてあるべき正しさを求めていくことが何かを見せてくれる話です。
半沢の敵役である黒崎捜査官が政治家に逆らって金融庁から異動させられました。敵役ですが、金融庁の人間として正しい道を黒崎は歩んでいました。半沢と黒崎は敵対はしていましたがお互いのことは認めあっている関係であったことが良く分かった内容でした。
金融庁は金融機関にとって大変厳しい存在ですが、ソニー生命はその金融庁から理想的なコンプライアンス体制を持っている会社だと評価されています。そのような会社で徹底したプロ意識の根っこを持たせてもらったことは私の財産だと思います。
そのようなプロ意識と、もうひとつ美意識というものをより築いていきたいと思います。美しいものは何か、素晴らしいものは何か、正しいことは何かといった美意識を持つことで間違ったことをしないというマインドを築くことがこれからの時代ますます求められて行くのではないでしょうか。
今、私が自治体や企業で実施しているコンプライアンスの研修は最先端のものの1つと評価をいただいていますが、さらに今回お話したプロ意識と美意識について突き詰めて考えてより良い研修を提供させていただきたいと考えています。
先日の動画では半沢直樹について話しましたが、銀行と同じ非常にコンプライアンスに厳しい金融庁管轄のソニー生命で鍛えられたプロ意識とコンプライアンス意識について話しました。
あの厳格な金融庁から「コンプライアンスについての見本」と言わしめるソニー生命が入社時から植え付ける徹底したプロ意識とコンプライアンス意識。どのように植え付けていくのかをお伝えします。
最近、シューベルトの「魔王」を覚えて車の中で歌っています。有名な詩本日は帰りが遅くなってしまいました。
シューベルトの魔王は詩人のゲーテの詩が歌詞として使われています。ほとんどの方が中学の音楽の時間に習っているはずなので有名な曲ですね。「おと~さん、おと~さん」が印象的です。お腹の底から全力で歌えるので気持ちがとても高揚します。
魔王には語り部、お父さん、ぼうや、魔王の4名(魔王をこのようにカウントしても良いのか分かりませんが)が登場します。色々な解釈がされる歌詞ですが、魔王の甘い誘いがあり、それにぼうやは恐怖しお父さんに訴えかけるもお父さんは魔王の存在に気付かず、最後は魔王にさらわれてぼうやは息絶えるというのがあらすじです。
調べてみると魔王=お父さん説、魔王=病気説など様々な説を見ました。私なりに解釈すると魔王=甘い誘惑なのかなと考えています。
人間には弱った時やつい手を抜いてしまう時があります。「他の人たちも手を抜いているからいいだろう」「一人くらいさぼっていても問題ないだろう」と考えてしまうのが人間です。100年ほど前にフランスの農学者リンゲルマンによって人間は社会的手抜きをする生き物であることは証明されています(リンゲルマン効果)。フリーライダー(ただ乗り)効果とも言います。
甘い誘惑に打ち勝っていくこと、まさにコンプライアンスを考えていく上で必要な考えです。お父さんは魔王の存在に気付いていませんが、もしお父さんが魔王の存在に気付いていたらどうなるかと考えれば、それがぼうやを死なせないための対策になっていたかもしれませんし、ぼうやのようにただ恐れてばかりいるのでは何の解決にもならないとも言えます。このように考えていくとこの詩は「何が問題であるかを正しく強い態度をもって冷静に発見し、甘い誘惑に負けずに正しい対応をしなければならない」という解釈をしてみました。
今回のブログは書き始めてからちょうど100回目ですので、100にまつわる話をします。
コンプライアンスの方程式は100-1=0です。(柴田純男先生談)
1点でも不正があれば問題です。まさに蟻の一穴から堤防も崩れるといった話です。
本日まで、半年間歯科医院に通い全ての歯を治療しました。歯も同じことで1本でも歯が欠けていたらそこから崩壊が始まります。
前歯の虫歯治療⇒左上虫歯の除去⇒左上の仮の歯設置⇒前歯の仮の歯設置⇒前の歯の完成(ここまでで並行して歯石取り)⇒左上のブリッジ完成 と長い道のりでしたがこれで健康が保てると思うと結構感慨深いものがあります。
きれいにしている場所でも、1つゴミが落ちていたら「あっ、ここはごみを放ってもいいんだ」という心理が働きます。
ニューヨークで実際にあった話で「割れ窓理論」というものもあります。割れた窓ガラスをそのまま放置しておくと他の窓ガラスがどんどん割られていくという理論です。アメリカの犯罪心理学者のケリング博士によるのものです。
逆に惜しみなく夜を徹して些細な傷を修繕しているのがディズニーランドです。このような対応をしているのでゲストが「ここは汚してはいけない場所だ」と認識し、マナー良く行動することを実現しています。
コンプライアンスの方程式 100-1=0
徹底して根気よく取り組むことが何より大事です。
本日は階層別の2研修をしてきました。リーダークラスはタイムマネジメント、管理職クラスはナレッジマネジメントの研修でした。
今日は1年で何回か出現する「ゾーン」に入りました。何かが乗り移ったかのように心の底から気持ちよくしゃべれます。これが出た時は本当に快感です。金曜日の研修も絶好調でしたので好調がキープできています。
さて、本日は動画配信です。コンプライアンスシリーズ8回もいよいよ7話目になりました。「半沢直樹に学ぶコンプライアンス」
4分の動画です。ぜひご覧ください。
本日はJA三重厚生連様で17時より1時間、コンプライアンス研修で熱く語ってきました。帰ってきてから飲んだビールの一口目がおいしい!
最近のコンプラ研修ではコンプライアンス意識の根底を支えているものの一つとして美意識が大事だということを結びの言葉にしています。
最近読んだ本の中で大変しっくりくる内容のものがありましたので紹介します。本日の研修の中でも紹介しました。
世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?(山口周 著 光文社新書)
https://onl.tw/J8mQsgQ
特にコンプライアンス違反を犯す大企業の経営幹部が有名大学を出たエリートばかりであるという話は興味深いです。このような人たちは設定した目標を何が何でも達成するんだという「達成動機」が強く、結果高い業績を上げていくわけですが落とし穴があります。それは目標達成できなかった時に「目標を達成できない自分」というものを認められず、粉飾決算などの違反を犯してしまうということです。
このようなことを防いでいくために「美意識に基づいた自己規範」が必要になります。では、その美意識を鍛えるにはどうすればいいのでしょうか。
音楽、絵画、骨董、哲学、文学、映画、庭園、寺社仏閣、演劇、バレエ・・・我々の周りには観察眼を鍛えてくれる物事はたくさんあります。これらが私たちに美意識を与えてくれるのです。
私の場合、管轄企業への厳しい指導で有名な金融庁が見本にしなさいと言うソニー生命でコンプライアンス意識とプロ意識を叩き込まれましたが、一方で周りの影響もあり美意識を鍛えてきたと思います。
まず、一番大きいのは祖母の存在です。妹と私は生まれが1歳半しか違わないので、母は妹のことで手がいっぱいで、必然的に祖母に面倒を見てもらうことが多かったです。祖母は茶道の師範までなった「和風」な人物でした。その影響を受けて私は小学校の時に無類の歴史好きになり、高校生の時にはお茶会を開催したりしてました。お茶はかじった程度ですが、お茶碗フェチになってしまい、茶道具を見に行くのは今も大好きです。
神社やお寺も大好物。伊勢で生まれ育ち、学生時代はそこで過ごしたかったので京都で過ごしました。京都には合計11年おりました。これらは祖母からの影響でした。祖母が存命の頃は毎年秋の京都を案内してあげることが楽しみでした。
もう一人は家内の存在です。家内はグラフィックデザイナーで、大学では哲学科で美術鑑賞を学んでいました。家内と知り合ってから絵を見に行く機会が非常に多くなりました。それまでは美術館は数えるほどしか行ったことがありませんでしたが、美術館や博物館が数多い東京で過ごしたこともあり今ではすっかり美術館好きです。家内は私の美術教師です。
また、ギターやベースと親しんできたことも大きかったです。今もすぐそこに、私の椅子の傍らには大好きなエリッククラプトンモデルのギターがあり、気分転換に弾いてます。
全国数多くの自治体や企業のコンプライアンス研修の講師を担当していますが、この美意識についてはより研究を深めて情報発信をしていきたいと思います。この本はお勧めです。
この本には大変感銘を受け、やたらとしっくりくるのでなぜかと思ったところ理由が分かりました。著者の方、1970年生まれ、慶應義塾大学文学部哲学科。家内の2個上で同じ科にいたようです。
大学は教育学部の教員養成課程でしたので、公立の中学校で働くための倫理なども大学で学びましたが、その基本的な内容を押さえた上で25年間働いてきました。
ごくごく基本の部分や事例を出して、倫理観を持つ大切さをお伝えした内容です。4分ほどですので是非ご覧ください。
次週の月曜、木曜の動画では半沢直樹の話、そしてコンプライアンスが徹底していることで有名で、私のコンプライアンス意識の根底を作ってくれたソニー生命について話します。
先日、今週金曜日のコンプライアンス研修のテキストを作っていました。不祥事を繰り返す組織と言うのは似たようなパターンがあります。今回、事例として出すのは三菱自動車、日本相撲協会、東京女子医大、日本大学です。
三菱自動車
2000年 大量のリコール隠し
2002年 大型トラックタイヤ脱落事故(3名の死傷者)
2016年 燃費データ改ざん事件
日本相撲協会
2007年 時津風部屋リンチ殺人事件
2010年 野球とばく事件
2011年 八百長事件
2017年 日馬富士から貴ノ岩への暴力事件
2018年 貴ノ岩から付き人への暴力事件
2020年 中川部屋暴力事件
東京女子医大
2001年 医療事故隠ぺい事件 特定機能病院指定取り消し
2007年 特定機能病院再承認
2015年 子どもに使えない麻酔薬の大量投与による男児死亡事件
2度目の特定機能病院指定取り消し
2019年 3年度連続の巨額赤字
2020年 コロナ禍における更なる赤字と職員への待遇問題(ボーナスの減額と大量退職希望の発生)
日本大学
2018年 アメフト部悪質タックル事件
2020年 ラグビー部暴力・パワハラ事件
どこも再発防止がされず、似たような曲線を描いています。
共通項を考えていくと4つのポイントが見えます。
1.パワハラ体質
2.隠ぺい気質
3.危機管理体制の不備
4.コミュニケーションへの理解
このようなところを改善していく必要があると見ています。
組織の体質が変わらない限りいつまで経っても同じような不祥事は繰り返します。
風通しの良い、誰もが言いたいことを言える環境を作ることこそがコンプライアンスが浸透した組織と言えます。
私が学生時代には(25年以前)すでにセクシャルハラスメント(セクハラ)、パワーハラスメント(パワハラ)という言葉がありました。また、知っている方が妻子ある権力のある大学教授から執拗に迫られて困っているという相談に乗ったことがありますが、大学などでのハラスメントをアカデミックハラスメント(アカハラ)というのをその時に知りましたので、25年以上前にセクハラ・パワハラ以外の言葉が存在していたことになります。
その他、ここ数年で耳にしたのは「アルハラ」「テクハラ」「ジェンハラ」「マタハラ」「ウェブハラ」「ハラハラ」「カスハラ」などです。皆様、いくつ分かりますか?
アルハラはアルコールハラスメントです。お酒の強要や「俺の注いだ酒が飲めないのか」です。
テクハラはテクノロジーハラスメントです。これは下の立場の人から上の立場の人に使われる場合があり、「こんなPC作業もできないレベルなんですか」とバカにするような話をするケースが該当します。
ジェンハラはジェンダーハラスメントです。男性に対して「もっと男らしく堂々とできないのか」「女性なんだからもっとおしとやかにしないと」といった具合です。
マタハラはマタニティハラスメントです。妊娠したことによって仕事量を減らしたり、休暇を取る人へ嫌味をいうことを指します。
ウェブハラはウェブサイトなどに「株式会社〇〇の××は変態です。」などと書き込むウェブハラスメントです。筆者は昔、「キザ野郎」と書き込まれて結構凹んでしまいました。
ハラハラはハラスメントハラスメントです。やたらと上司に向かって「それってハラスメントですよね」と決めつけてくるハラスメントです。
カスハラはカスタマーハラスメントです。お客様による店員いじめです。お客様は神様であるという間違った考え方に起因しています。
何を言うにしてもコミュニケーションが取れていればハラスメントと取られないものです。しっかりと平素からコミュニケーションを取り、一人ひとりの相手のことを思いやり、その人に合わせた誠実な応対を心がけていくことが大事と言えます。
本日は動画配信の月曜日です。
「社会的手抜き」という言葉をご存知でしょうか?100%力を出しているように思っていても実は人は手を抜く生き物だということは100年以上前から分かっていることです。無意識で手抜きをしてしまうのが人です。それを分かっていなければいつまで経ってもコンプライアンス違反やミスは無くなりません。そのような話をしています。
4分程度の動画です。ご覧ください。
コンプライアンスについて[8回シリーズ/第5回]人は手抜きをする生き物